猫の膀胱炎(猫下部尿路疾患)との闘いの記録
こんにちは!
ジルわこハウス(@gillwacohouse)です
最初に断っておきますと
今回家づくりの話は全く出てきませんm_ _m
最近(というほど最近でもないですが)ペットを飼い始める方が増えています
「ペットフード協会」というところの調査によると
犬と猫の新規飼育頭数は2018年から毎年増加傾向です
ここ1年くらいはコロナ禍で家にいる時間が増えたことも影響してそうですね
※一般社団法人 ペットフード協会HPより
特に近年は犬よりも猫の飼育頭数のほうが多い状況が続いています
まあ猫飼いとしては気持ちは分かります笑
いたずらに頭を悩まされることもありますが
毎日癒されてますし
後悔していることはありません
立派な家族の一員です
これは憶測になるんですが
猫の飼育頭数が増えている要因として
「犬より猫のほうが手間もお金も掛からなくて飼いやすい」
というような情報が流れている影響もあるのかなぁと思っています
相対的には間違ってはないかもしれませんが
人間以上に食事には気を使いますし
環境の変化に敏感です
トイレの好みもうるさいです
遊んであげないとストレスも溜まります
(構いすぎてもストレスです笑)
いたずらもするし粗相をすることもあります
気軽に旅行には行けなくなります
ケガもするし病気にだってなります
調子が悪くてもにゃーんしか言ってくれません
人間より早く寿命を迎えます
生き物を飼うってそういうことだと思いますが
猫を飼おうか迷ってるんだけど…という人に
猫を飼っているとこういうこともあるんだ
ということを知ってほしくてこの記事を書きました
あと同じような悩みを抱えている人が
この記事にたどり着いて
何かのヒントになれば嬉しいです
ちょっとセンシティブな内容になりますので
苦手な方はここで戻るボタンをお願いしますm_ _m
猫下部尿路疾患って何?
猫のおしっこに関わる部分(膀胱や尿道)で起こる疾患の総称です
病院の診断書にはFLUTD(Feline Lower Urinary Tract Disease)などと書かれます
Feline ⇒ 猫科の
Lower ⇒ 下側の
Urinary ⇒ 尿の
Tract ⇒ 管、道
Disease ⇒ 病気、疾患
具体的な症状で言うと
膀胱炎や尿路結石などがあります
人間でもなることがありますね
うちのねこの紹介でもちょっと触れましたが
上の子のジルがずっと患っていました
ジルの闘病記録
闘病の甲斐あって、今では症状が落ち着いていますので
その顛末を記録として綴りたいと思います
家に来てからの状況
ジルがうちにやってきたのは生後3か月くらいの頃でした
ペットショップの子なので大きな疾患はなかったものの
便がゆるゆるだったり、ちょっと体調に心配なところがあって
うちに来て間もなくから月1~2回くらいのペースで病院通いでした
生まれてから目まぐるしく環境が変わっていったと思うので
そういうのがストレスになっていたところもあったのかなぁ…
と今では思います
便の調子も次第に良くなっていき
その後は順調に育っていってくれました
猫下部尿路疾患の発症
安心したもの束の間
生後6か月を迎えた頃でした
ある日トイレを覗くと
血の混じったおしっこがトイレシートに…
その頃はシステムトイレを使っていたので
トイレの下に溜まったおしっこを採取して
ジルを病院に連れて行きました
診察と尿検査の結果から「膀胱炎」との診断でした
ねこの膀胱炎には大きく分けて2種類あります
「細菌性膀胱炎」と「突発性膀胱炎」です
細菌性膀胱炎は尿道口からの細菌感染が原因になります
トイレが汚れてたりすると感染の可能性があります
また細菌感染や食事などによって尿のpH(酸性とかアルカリ性の指標)が変化すると
尿中に結晶が析出して、それが膀胱や尿道を傷付けて炎症を起こす場合もあります
結晶が集まって大きくなると結石となって尿道に詰まる可能性が出てきます
特に男の子は尿道が複雑に曲がりくねっていて
尿路結石ができると尿路閉塞となるリスクが高いです
突発性膀胱炎は検査しても原因がはっきりしない膀胱炎になります
ストレスが原因と言われることが多いです
猫の場合この突発性膀胱炎になる子が多いようです
ジルも尿検査をした結果で細菌も結晶も確認されず
突発性膀胱炎という診断でした
こう診断されると原因がはっきりしないため明確な治療法もないため
薬やフードや生活環境などを少しづつ変えていって
根気よく経過を観察するしかありません
ジルの場合尿検査で細菌も結晶も検出されなかったものの
pHがアルカリ性寄り且つタンパクが検出されており
細菌感染しているときの状況に近かったため
まずは細菌に効く抗生物質、止血剤を投薬することになりました
本来、細菌の種類に合わせた抗生物質を投薬する必要がありますが
この場合は一つづつ試してみて様子を見るという対症療法でした
尿検査で細菌が出てこなくとも、採取した尿を培養して細菌を特定できる場合があります
その場合は培養する尿に余計な菌が入りこまないように
病院で直接尿を取ってもらう必要があります
カテーテル挿入するのに麻酔が必要になる場合もありちょっとねこへの負担が大きいです
※この辺の対応は病院によっても違うと思いますのでかかりつけの病院に相談してください
またフードを尿路疾患用のものに変えていく必要があるためフードのサンプルを貰いました
その時貰ったのはロイヤルカナンの「pHコントロール+CLT」というものでした
ちなみに現在はpHコントロールは生産終了しており
同社の「ユリナリーS/O+CLT」という商品に変わっています
※動物病院等でないと購入できません
尿路疾患用のフードの目的は結晶ができるのを予防したり結石を溶かしたりになりますが
そもそもpHによってできる結晶の種類が変わってきます
酸性だと「シュウ酸カルシウム」、アルカリ性だと「ストルバイト」
という種類の結晶ができやすくなります
そのためフードの種類を間違えると逆効果になってしまう場合があるので
療法食、治療食を与える場合は必ず病院の指示に従いましょう
(ネットで買えるフードもあるので)
膀胱炎の治療
それから1週間毎におしっこを取って
病院に行って検査をしての繰り返しでした
相変わらず尿検査で細菌や結晶は検出されずでしたが
尿検査の数字(pH、タンパク、血液など)は改善に向かっており
1か月くらいでひとまず膀胱炎の症状は落ち着きました
ちなみに膀胱炎の診察は
尿検査とエコー検査がメインでした
エコー検査は膀胱内に結石などがないか?などを見る目的でやりますが
おしっこが膀胱内に溜まっていたりある程度大きな結石じゃないと見えなかったりなので
参考に見るような感じでしたね
薬は粉状にしてフードと混ぜてあげたり
猫用のオブラートみたいなのを試したりいろいろしましたが
最後は直接飲ませるのに落ち着きました
慣れるまでは大変ですが結局一番楽でした
(大人になってからだと大変かも…)
フードのpHコントロール+CLTは
水をたくさん飲ませておしっこをたくさんさせて
膀胱内をきれいにしようという意図もあって
塩分高めに設定されているので
味としてはおいしいみたいで
しっかり食べてくれていました
※塩分高めの食事は腎臓にはあまり良くないのでその辺も病院とよく相談のうえ決める必要があります
ちなみに+CLTは突発性膀胱炎向けに作られた
ストレス軽減効果を狙った商品になります
他にはトイレをこまめに掃除したり
寒い時期だったので常時エアコンONで室温の変化があまり出ないようになどは気を付けました
膀胱炎の再発
膀胱炎のつらいところは
一度治っても再発することがとても多いことです
ジルも一度治ってからまた2~3か月すると頻尿を再発して
おしっこを取って病院に連れて行くと
やっぱり原因がはっきりしない膀胱炎と診断され
1か月くらいの投薬治療で症状落ち着いて
という状況が続きました
そのたびに治療のほうでは抗生物質の種類を変えたり
水が飲みやすい環境を作ったり
家の環境としてはトイレの数を増やしたり
猫砂の種類を変えたり
ストレス軽減に効果があるというおやつをあげたりと
いろいろ試しました
フードも途中でヒルズのC/Dマルチケアコンフォートというのに変えてみたりしました
これも突発性膀胱炎向けのフードになります
そんな平行線状態が2年近く続いていました
一応少しづつ大丈夫な期間が長くはなって行っていたので
改善していってるのかなと思っていましたが
実際はそんなことはなかったようでした…
今思えば猫砂の改善はもう少し
いろいろ試しておけばよかったかなという気がしています
採尿の必要もあったため
システムトイレありきで考えていましたが
固まる砂系も試すべきだったという気がしています
尿路閉塞の発症
最初の膀胱炎発症から2年近く経過したある冬の日でした
やはり膀胱炎を発症して投薬治療をしていました
夜中に何度もトイレに行き
1回1回のトイレにこもる時間が長いということがありました
しかもおしっこは出ていなさそうという状況です
膀胱炎の症状と似ているので最初はいつもと少し様子が違うな…
という感じだったのですが
今思えば尿路閉塞の可能性が非常に高い状況でした
膀胱炎の場合は
ちょびちょびだけどおしっこは出る
何度もトイレに入るけど1回1回の時間は短い
という印象です
24時を回っていましたが
病院に連れて行った方がいいかと思い夜間病院を探しました
大きめの動物病院の夜間救急でも24時までというところが多く
24時以降やっている病院というのはなかなか無いかもしれません
個人病院などでも時間外でも留守電気付ければ可能な限り対応しますと
善意でしてくれているところもありますが
流石に日付が変わっているとなかなか難しいと思います
幸い私が住んでいたところからだと
県外になりますが
大阪の北摂夜間救急病院というところが
21時~翌日6時までやっていたため
そこに電話をしてました
病院を探している間に嘔吐も見られ
その状況も病院に伝えると
「すぐに連れてきてください」
と言われすぐに車で病院に連れて行きました
猫はもともと砂漠で暮らしていた生き物で水分が貴重だったため
おしっこはなるべく濃縮させて排出するような体のつくりになっているそうです
尿は体にとっては毒なので
尿が溜まりすぎて腎臓まで尿が達してしまうと
尿毒症となって腎不全など取り返しのつかないことになります
病院からは24時間以上おしっこが出ない状態が続くと危険と言われていました
その日は朝してから出ていなくて15時間くらい経った状態でした
膀胱炎のときに嘔吐するというのはかなり危険な状況のサインです
一般の病院が開くまで待っていたら手遅れになっていた可能性もあります
病院に着いたのは午前3時くらいでしたが
他にも何組か病院に来ている方がいました
病院について間もなく
麻酔をかけてカテーテルを挿入して尿道の詰まりを解消し
尿を抜いて膀胱内を洗浄してという治療を実施してもらいました
そこでようやく結石の存在を確認でき
ストルバイトが検出されました
血液検査も実施しましたが
幸い腎臓の数値には影響は出ていませんでした
6時くらいには麻酔も覚めてきて帰路に着きました
その後はかかりつけの病院に行って
ストルバイトの治療のためのフードのヒルズのS/Dに切り替えて
治療を続けました
ちなみにカテーテル挿入後は
尿道が炎症を起こして詰まりやすくなっているので要注意とのことです
尿路閉塞再発からの入院そして手術
尿路閉塞後は相変わらず膀胱炎になったり落ち着いたりを繰り返していました
そして忘れもしない尿路閉塞再発の日
それはちょうどジルわこ夫婦の結婚式の日でした
結婚式の日の朝は
ジルは本調子とまではいきませんでしたがそこそこ落ち着いていました
ペットカメラを付けていたので
式中もちょこちょこ覗いては今は寝てるなとか確認していました
式が終わってカメラを覗いてみるとジルの姿が見えず
ちょっと不安を覚えたので
遠方から来てくれている友人もいましたが
挨拶だけしてそそくさと帰りました…
するとジルは以前尿路閉塞となった時と同じように
踏ん張ってもおしっこが出ない状況になっていました
幸いかかりつけの病院の夜間救急がまだやっている時間だったため
電話をしてすぐに連れて行きました
前の教訓が活きていたのですぐに連れていくことができました
夜間救急の対応をしている病院と時間は
1度確認しておいた方がいいと思います
ネットで探しても情報古かったりするので
かかりつけの病院に確認しておくのが確実です
パニックで探せない場合もあるかもしれませんので
お酒も入っていたためタクシーに来てもらい連れて行きました
場合によっては深夜でも呼べるタクシーの確認も忘れずに
病院に連れていくと、一度カテーテル挿入して膀胱内を洗浄しても
またすぐに詰まってしまう可能性もあるため
カテーテルを挿入した状態でしばらく様子を見るため一時入院となりました
その日はジルを病院に残して帰宅しました
病院の間待ってて頂いたタクシードライバーの方には感謝です…
その後はカテーテルを挿入したままの状態で膀胱内を洗浄して
様子を見てを数日繰り返しましたが
どうも砂だけでなく膀胱内の細胞壁がはがれてそれが膀胱内に留まっていて
いずれそれが細かくなってまた尿道に詰まって埒が明かないという状態のようでした
ジルの体力的にもこのままの状態が続くのは良くないということで
手術をして膀胱内を直接洗浄する方針となりました
他には尿道を短くして詰まりにくくする
(いわゆる女の子みたいにするイメージ)
そんな手術もあるようですが
手術の負担的にもその後の生活を考えても
それは最終手段になります
まさか去勢手術以外でこんなに早く手術をすることになるとは…
術後の経過
手術は無事成功し
暫く経過観察をして退院となりました
退院後は長期間のカテーテル生活とお腹を切っていることもあり
いつもの調子に戻るまではしばらく時間がかかりました
食欲が戻るまでは1か月くらいかかりましたが
それからはほぼいつもの調子に戻ってきました
手術後1度だけ尿道が詰まって再度カテーテルを通したことがありましたが
それ以降は膀胱炎の症状は再発していません
もう2年近くは尿路疾患用のフードで経過観察だけになっています
このまま今の状態が続いてくれればいいと思います
おわりに
最初に膀胱炎を発症してから
一応の解決を見るまで約2年半かかりました
結局明確な原因は分かっていないままですが
一人ぼっちのストレスみたいなのが結構あったのかなという気がしています
今はわこちゃんがいてくれるのもいい方向に働いていそう(と願ってます)
一戸建てにしたら住環境としてはいい方向になってくれるので
引っ越しのストレスをなるべく感じさせないようにはしないといけません
もっと苦労している人も世の中にはいると思います
ジルも一旦は良くなっていますが今後再発しないという保証もありません
長ーくなりましたが、猫を飼ううえではこんな苦労もあるかもしれない
ということを知っていただけるとこの記事を書いた甲斐があります
生き物を飼ううえでの苦労はもちろんありますが
猫は人間にとっても最高のパートナーになってくれると思うので
よく考えて覚悟を完了した方はねこちゃんを迎えてあげるのお勧めです